一年を振り返って -食文化編-

f0299739_20593889.jpg


ここマーシャルにきて一年が経とうとしている。早いな~。

活動ももちろん大切であるが、まずはこの一年、ここで元気に暮らしてこれたということに感謝し、生活面、とりわけ異文化の中で考えたことについて少し振り返りたいと思う。
いいことばかりではないので(むしろ半分以上はよくないことを書くかも。笑)、追記にたたむ。

今回は食文化編!

ちなみに写真は、缶ジュースは全部開けずに、隙間からちゅーちゅー吸うように飲んでいる時のもの。
この飲み方、おばちゃんとか子どもがよくしている。炭酸が苦手らしい。じゃあ、なぜ飲むんだろう。
f0299739_20491288.jpg




マーシャルにきた当初を思い出すと、活動への不安や緊張もあるにはあったが、
初めての日本以外の場所での生活への期待、わくわく感が勝っていたように感じる。

これまでの海外旅行などでの短い滞在と異なり、異国、しかも途上国と呼ばれている国で「暮らす」ということ。

大学での専門が社会科(教育学部だったので広く浅かったが)とだけあって、人間社会にはもともとから興味があり、日本以外での人間の生き方について知りたい学びたいというのも、ここにきた理由の一つだった。
人間が生きていて起こる(起こす)事柄について、その背景や関連する事柄を掘っていくことにおもしろさを感じるのである。
この二年間で、マーシャルの人の暮らし、文化、きっと奥の深い様々なことを発見するんだろうと期待していた。

そして蓋を開けてみると、なんとも表現し難い、思ってたのとちがう文化が待っていた。

今回は、まずは食文化について。
「これがマーシャルの料理よ」として紹介されるのは、主に次の3パターン。

①自国で採れる限られた食物を使った、単純で簡単なもの
②バーベキュー系
③インスタント麺や缶詰、チップス類

①について
自国で自然に採れるものは本当に限られていて、指で数えるくらいしかない。かっこの中はマーシャル語。
パンダナス(ボップ)、ブレッドフルーツ(メー)、バナナ(ピナーナ)、ココナッツ(ユー、ニー、ワイニー)、パパイヤ(ケナプー)、かぼちゃ(パンケ)、タロ(ヤラチ)、ベルアップル、ノニ(ニン)。
両手で足りてしまった。

種類は悲しいほど少ないが、それぞれの収穫量は多いと思う。
最初の6種なんかはマジュロではそこらじゅうで採れるし、メーなんかは時期によると実が生り過ぎて道に落ちてぐちゃぐちゃになってることもしばしば。もったいない。

そんな材料を使って、シンプルに料理したものが、わたしが以前住んでいた地域(首都の超郊外)ではよく出されていた。それらがマーシャルの真の伝統料理であると思われる。
シンプルの度合いも高く、そのまま食べるか、煮る、蒸す、ご飯に混ぜるなど。その中にも工夫はたくさんあるんだろうけど、味付けもまさしくシンプルそのもので、わたしは未だに好きになれないのが現実である。(勿論おいしいと言って買っている日本人だっているが。)

②について
たんぱく源は、そこらじゅうにいる鶏、田舎に多い豚、そして豊富な海の産物。
鶏や魚は蒸されたり、焼かれたり、素揚げにされたりして、そのままごそっと出てくる。もちろん骨も皮も鱗もそのまま。
家庭でもたまにバーベキューをしていて(お弁当屋さんでは毎日買える)、タレに漬け込んだ鶏や豚(主にリブ)をじっくり時間をかけて焼く。見た目はこんがり、中は基本的には半生で赤い。上手な人が作るとよく煮えている。

③について
ここの人たちはおばあちゃんから赤ちゃんまでインスタントの袋麺をほんとによく食べる。朝から晩まで食べる。
同様に缶詰のツナも主食並みに食べる。コンビーフやソーセージの缶なども好きである。
缶詰は白米にぶっかけるか、混ぜて食べる。
また、数十円の駄菓子感覚で手軽に食べられるチップス類も、子どもの朝ごはんやおやつにかかせない食べ物である。学校の休み時間になると、ひとり1袋は必ず食べているといっても過言ではない。

ホームステイしていた時、朝ごはん用に袋麺(未調理)が置いてあったことや、
夜ご飯が白米とツナ缶というメニューだったこと、
近所のお家でごちそうだよといって、インスタント麺とコンビーフを混ぜてご飯にのせた料理(クレイビーというらしい、ビジュアルがすごい)が出てきたことなど、
マーシャルにきて、一番マイナスの衝撃を受けたのは、この食文化かもしれない。

このような食文化の中で暮らしていると、嘆くことも多いし、なんてところだと思うこともあったが、
物事すべてには理由があるもので、こうなったのにもマーシャルという国の歴史や地理的事象が関係している。

次の2つに分けて述べる。
①珊瑚でできた環礁の国
②戦後アメリカの統治下にあった国

①について
マーシャルは、珊瑚礁でできているため、土がない。同様の理由で水の保持も難しく、青果栽培のために必要な土と水を十分に確保ができない。
海外から輸入された青果は鮮度が落ちるし、値段が張るため、もともと野菜を摂る習慣のないマーシャル人が買いたくならないのは想像に難くない。これらの理由により、どうしても偏りのある食物摂取になってしまう。
近年では台湾など海外からの援助により、ファーム内で野菜を育てたりすることもあるようだが、一般市民にはなかなか浸透していないのが現実である。

②について
戦後、アメリカにより統治されたため、アメリカの文化が一気に流入。
独立後もアメリカや中国の輸出市場となり、安価で日持ちのする乾物、缶詰類が急激に消費されるようになった。
簡単な調理法や濃い味付けがマーシャル人の好みにばっちりハマり、いまや代表的な国民食となってしまった。

また、シンプルで簡単な調理法とは、言い換えればひねりがなく、より高度なものを追求していくことがないということでもあるのだが、
このようにクリエイティブ精神を感じる場面が少ない要因には、
小さな島国の中で競争の少ない社会であることや、
一年を通して常夏の季節感のない熱帯気候で、食生活に変化が必要ないことなどが考えられるだろう。

***

食文化のいいところを中心に述べることはできなかったが、いいなと思った点ももちろんたくさんある。
が、この1年の振り返ると、わたしの個人的な好みには合わないことのほうが多かったようである。

でもやっぱり、どんな人とでも分け合って食べる、シェアの文化は好きだ。
これこそ小さい南の島の、あたたかい人たちの暮らし方という感じがする。実際にこのシステムに何度も救われてきた自分がいる。
以前暮らしていた郊外の村でも、今暮らしている首都の中心部でも、そこはマーシャル人の変わらない部分。どこに言っても、マガエ(ご飯)に関しては気にかけてくれる、マーシャル人はすてきである。ご飯の中身はどうであれ。

いい意味でもわるい意味でも、ここにくる前の予想を大きく裏切ってくれるマーシャル、なんだかんだで癖になっているのかもしれないと思うとぞくっとします!
果たしてわたしはマーシャルが好きなのだろうか。次回へ続く。

f0299739_20561919.jpg

写真は、好きな食べ物がほとんどないマーシャルで、心を奪われた食べ物。カターパン。オールドファッションとかサーターアンダギーとほぼ同じ。
by cpts-romi | 2014-09-30 00:33 | たべもの
←menuへ